ポイント:経済指標カレンダーは毎日の地図。<時間内容重要度予想/結果差>の4点を押さえ、発表の前/直後/落ち着きで行動を分けるだけで、ムダ玉と事故を大幅に減らせます。

はじめに:なぜ経済指標カレンダーが必須なのか

テクニカルだけでも戦えますが、イベントの時間を知らないと、普段のボラでは起きない急変に巻き込まれます。カレンダーを見る目的は「やる/やらないの切り分け」と「通貨と時間帯の選定」。

カレンダーの基本構成(時間・国・重要度・予想/結果/前回)

  • 時間:発表時刻(自国タイムゾーン表示の有無を確認)
  • 国・通貨:US=USD、EU=EUR、JP=JPY など
  • 重要度:★〜★★★や色分けで表示(サイトにより異なる)
  • 指標名:消費者物価指数(CPI)、雇用統計(NFP)、政策金利 ほか
  • 前回値/予想/結果:結果−予想のギャップが初動の方向を作りやすい
  • コメント:各社の要点メモ(後追い検証に役立つ)

【重要度別】値動きインパクトの目安

重要度 代表的な指標 想定インパクト 初心者の推奨対応
★★★(高) 米CPI・米雇用統計・FOMC/ECB/BoE政策金利・要人発言 広いスプレッド/乱高下/ギャップ 原則ノートレ or 極小ロット、収束待ち
★★(中) PMI、GDP速報、失業率、小売売上高 方向性が出るが値幅は限定的 事前に方向シナリオを用意して小さく参加
★(低) 在庫、二次統計、地域指数など ノイズ程度 通常運用。過剰反応に注意

主要指標の押さえどころ(米・欧・日ほか)

米国(USD)

  • CPI/PCE:インフレ方向の軸。コア重視の場面が多い
  • NFP(雇用統計):失業率・平均時給とセットで解釈
  • FOMC:政策金利・声明・記者会見・ドットチャート

ユーロ圏(EUR)

  • ECB政策金利・総裁会見、ユーロ圏HICP(インフレ)

日本(JPY)

  • 日銀金融政策決定会合、CPI、賃金統計、要人発言(サプライズに注意)

Tip:指標の相関通貨(例:米→USD/JPY・EUR/USD、欧→EURクロス)を意識。

発表<前/直後/収束>の行動ルール

  1. 発表前:30〜10分前は新規を控える/ロット半減。注文はOCOで。
  2. 直後:1〜3本(時間足に応じて)様子見初動の逆噴射に注意。
  3. 収束後:高安のレンジ確定を待ち、ブレイク&リテストや押し目/戻りで参戦。

実務ワークフロー:朝5分/週30分の運用術

デイリー(朝5分)

  • 今日の★≥2の指標を時刻順にリスト化(JST変換を確認)
  • 該当通貨ペアを監視リストに追加(不要ペアは外す)
  • 「やらない時間」を事前宣言(例:CPI±15分はノートレ)

ウィークリー(週30分)

  • 翌週のビッグイベント(CPI/雇用統計/政策金利)をカレンダーに記入
  • 想定シナリオ:強い結果/弱い結果/一致の3パターンでメモ
  • 必要ならロット上限の週次ルールを更新

シナリオ例:NFP・CPI・政策金利

NFP(米雇用統計)

想定:結果が予想を大きく上回る→USD買いの初動。ただし平均時給が悪ければ打ち消し合うことも。プラン:初動は見送り、収束後に直近高安ブレイクのリテストで入る。

CPI

コアのサプライズがカギ。強CPIならUSD買い/株安になりやすい。プラン:発表15分後、方向が続くなら押し目/戻りで。

政策金利

レート据え置きでも、声明・会見がタカ/ハトで方向が変わる。会見中は原則ノートレ。

リスク管理:指標跨ぎとギャップ対策

  • スプレッド拡大:ストップが想定以上に滑る可能性。ロット縮小と余裕証拠金。
  • 週末・休日:持ち越しは要警戒。ロット半分/建値移動で吸収。
  • 約定品質:成行連打は避け、OCO/逆指値の活用。
  • 分散:同テーマで同方向のポジションを複数通貨で重ねない。

よくある質問(FAQ)

Q:初心者はどの指標を必ず見る?
A:米CPI・NFP・FOMC/ECB/BoE・要人会見。次点でGDP/小売/PMI。

Q:発表前にポジションは?
A:基本はクローズ。持つならロット縮小と建値ストップ。

Q:どの通貨が動きやすい?
A:その国の通貨(米→USD、欧→EUR、日本→JPY)が中心。クロスも影響。

まとめ

  • カレンダーは毎日の地図:時間・重要度・予想/結果差を必ずチェック
  • 発表は前/直後/収束で行動を分けると事故が減る
  • 週次でビッグイベントを把握し、やらない時間を先に決める
  • ロット縮小・建値移動・OCOでイベント特有のリスクに備える