もくじ
時間軸を選ぶ前に:目的と制約を言語化する
時間軸(タイムフレーム)は「どのくらいの速さで意思決定し、どのくらいの幅を取りにいくのか」を決める土台です。まずは、以下の3点を言語化します。
- 目的:日次で小さく積み上げたいのか、週次でドカンと取りたいのか。
- 制約:可処分時間、スプレッドや手数料、約定力、端末環境、通知設定。
- 心理:含み損に耐えられる時間、連敗への耐性、睡眠の質への影響。
目的が「日々のキャッシュフロー」なら短い時間軸が合いやすく、「資金曲線の安定性」や「本業との両立」を優先するなら中〜長い時間軸が機能しやすくなります。時間軸の選択は才能ではなく設計問題です。
代表的な時間軸と特徴:1分〜日足の性格
各時間軸の性格を「ノイズ量」「シグナル密度」「反応速度」で捉えると整理できます。
| 時間軸 | 主用途 | ノイズ | 想定保有 | 主なリスク |
|---|---|---|---|---|
| 1分 | スキャルピングのトリガー | 非常に多い | 数十秒〜数分 | スプレッド影響大、過剰取引 |
| 5分 | デイトレのエントリー | 多い | 数分〜1時間 | 急変動の被弾、指標ノイズ |
| 15分 | デイトレの方向と押し戻り | 中 | 1〜3時間 | レンジ転換の見逃し |
| 1時間 | デイ〜スイングの骨格 | やや少 | 半日〜2日 | ニュースギャップ |
| 4時間 | スイングの主要トレンド | 少 | 数日 | 含み損時間が長い |
| 日足 | 中期の潮目判断 | 少 | 数日〜数週間 | 大きな逆行への耐性 |
短い時間軸ほど「判断回数は増えるが、1回あたりの優位性は低下」しやすい傾向。長い時間軸はチャンス回数が少ない代わりに1回の優位性や値幅が大きくなりがちです。
マルチタイムフレーム分析(MTF)の基本設計
おすすめは「役割の分業」。上位で潮目、中位で精度、最下位でトリガー。
- 上位足(4H/日足):トレンド・重要水平線・ボラティリティの地図。
- 中位足(1H/15M):押し戻りの形、チャネル、カタリスト前後の構造。
- 下位足(5M/1M):エントリーのトリガー、損切りの具体座標。
インジは「情報の非重複」を意識。移動平均(トレンド)×ボリンジャー(分散)×時間帯(出来高代理)など、同種情報を重ねすぎないのがコツ。
実践フロー:方向→シナリオ→エントリーの分業
- 方向(Bias):4H/日足で上昇・下降・レンジの仮説を1行で表す。
- シナリオ(IF/THEN):1H/15Mで「押し目買いならココ、崩れたら撤退」の分岐。
- エントリー(Trigger):5M/1Mで、Wボトム/ブレイク/リテストなど明確な合図。
この3段階を守ると、下位足のノイズで上位仮説をころころ変えるミスが減ります。
時間軸別の戦略テーブルとKPI
| スタイル | 上位足 | 中位足 | 下位足 | 平均RR | 勝率目安 | 日次想定回数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| スキャル | 1H | 15M | 1M/5M | 1:1〜1:1.5 | 55〜65% | 5〜15回 |
| デイトレ | 4H | 1H/15M | 5M | 1:1.5〜1:2 | 45〜60% | 2〜6回 |
| スイング | 日足 | 4H/1H | 15M/5M | 1:2〜1:3 | 40〜55% | 0〜2回 |
ケーススタディ:USDJPYとXAUUSD
USDJPY(トレンド持続型になりやすい)
- 4Hでトレンドを判定。押しはFib38.2%/50%で一次仮置き。
- 1H/15Mでチャネル・高安更新を確認。
- 5Mでリテスト完了+小W/M+時間帯でトリガー。
XAUUSD(ボラ大・フェイク多め)
- 日足/4Hで広めのレンジ境界を設定。指標日は上下フェイク前提。
- 1Hでレンジ端のプライスアクションを観察。
- 5M/1Mは入り過ぎ禁止。初動見送り、二段目のリテスト狙い。
作業時間が少ない人のための最小構成
- 週初に4Hの主要ラインを引き直す。
- チャンス日は1H/15Mでシナリオを用意しアラート。
- エントリーは5Mのリテストのみ。追わない。
よくある誤解と落とし穴
- 短期足=簡単は誤解。処理速度・手数料・メンタル負荷が高い。
- インジ過多で同種情報が重複し判断が鈍る。非重複を意識。
- 指標日は時間軸短いほど影響大。「やらない」を決める。
FAQ:実務での細かな判断
Q. 時間軸の整合が取れない。
A. 上位仮説を優先し、下位は「入らない」を選択。整合まで待つ。
Q. 仕事中に見られない。
A. 4H/1H基準でシナリオ+価格帯アラート+OCOで半自動化。
Q. スプレッド広めの銘柄で短期は?
A. RRが圧迫。時間軸を伸ばすかブローカーを見直す。
チェックリストとテンプレ
- 上位足の潮目は?(上昇/下降/レンジ)
- 重要価格帯は更新済み?
- シナリオのIF/THENは2分岐以内?
- トリガーは明文化?(例:リテスト+1本確定)
- 損切り座標とRR、薄利撤退の条件は?
<テンプレ> Bias: 4H uptrend. Key 155.20(前回高値)。 Scenario A: 155.20→リテスト→反発で買い。失敗は155.00割れ撤退。 Trigger: 5Mの小W+戻り高値ブレイク。 Risk: 15pips、Target: 30pips(RR 1:2)。 </テンプレ>
まとめ
時間軸は「生活と心理に合う設計」。上位で方向、中位でシナリオ、下位でトリガーという分業を徹底し、同じ儀式を繰り返すことで期待値は顔を出します。
