【経済指標解説】FX記事:FOMCとは?相場にどう影響する?
もくじ
イントロダクション
FOMC(連邦公開市場委員会)は米国の金融政策を決定する重要会合です。年8回開催され、政策金利や量的緩和・縮小などが決定されます。
トレーダーにとって、FOMCはドル相場を動かす最大級のイベント。ここでは仕組みと影響、具体的な戦略を学びます。
FOMCとは?仕組みと役割
FOMC(Federal Open Market Committee)はFRB(連邦準備制度理事会)の一部で、金融政策を決定します。
- メンバー:FRB理事7名+地区連銀総裁5名
- 開催頻度:年8回(約6週間ごと)
- 決定事項:政策金利(FFレート)、資産購入・縮小、声明文の発表
注目ポイント:政策金利・声明・会見
FOMC発表で注目されるのは以下の3点です。
- 政策金利(FFレート):利上げ/利下げの有無
- 声明文:景気やインフレに関する見解
- パウエル議長の会見:トーン(タカ派/ハト派)
FOMCと為替の関係(ドル相場)
FOMCはドル相場を直接動かします。利上げ示唆ならドル高、利下げならドル安の反応が基本です。
- 利上げ=ドル高、株安になりやすい
- 利下げ=ドル安、株高・金高になりやすい
- 声明や会見のニュアンスで逆方向に揺れ戻すことも多い
発表前の相場の特徴
発表前は市場が様子見でレンジ化しやすい傾向があります。
- ボラティリティ低下、出来高減少
- 投資家がポジションを軽くする傾向
- 発表前に仕掛けるのは高リスク
発表直後の値動きパターン
発表直後はスプレッドが拡大し、乱高下が起きやすいです。
- 最初の1分は見送り推奨
- 初動は声明のサプライズ方向に急変動
- その後フェイクで逆方向に戻すケースも多い
発表後の数時間〜数日の展開
発表後は数時間から数日にかけてトレンドが形成されやすいです。
- サプライズが強ければトレンド継続
- 声明が曖昧ならレンジに戻りやすい
- 発表後の押し目買い/戻り売りが戦略の王道
戦略の立て方(短期/中期)
FOMC戦略は時間軸で分けると分かりやすいです。
- 短期:発表直後の乱高下を避け、5〜30分後の押し目/戻りを狙う
- 中期:発表後の数時間〜数日で形成されるトレンドに追随
リスク管理:スプレッドとボラティリティ
FOMCはスプレッド拡大や約定滑りのリスクが高いです。
- ロットは口座残高に対して0.5〜1.0%リスクに抑える
- 成行注文は滑る前提でサイズを調整
- ストップ位置はATRや直近高安の外側に置く
戦術比較表
戦術ごとの比較表です。
戦術 | 適用タイミング | 長所 | 短所 | 適性 | ノート |
---|---|---|---|---|---|
完全見送り | 直後0〜1分 | 事故ゼロ | 機会損失 | 初心者に推奨 | 守り重視 |
小ロット参加 | 直後1〜5分 | 初動を拾える | 滑り・フェイク直撃 | 経験者向け | 建値保全必須 |
押し目買い/戻り売り | 5〜30分後 | RR良 | 待てないと逃す | 王道戦略 | 再現性高い |
トレンド追随 | 数時間〜数日 | 大きな利益 | 逆行リスク | 発表内容が鮮明なとき | 追撃は小ロット |
ケーススタディ(USDJPY・XAUUSD・NASDAQ100)
ケース1:USDJPY — 利上げサプライズでドル急騰、5分後の押し目買いで成功。
ケース2:XAUUSD — 利下げ示唆で金が急騰、直後は乱高下したが30分後に落ち着き、戻り売り失敗。
ケース3:NASDAQ100 — ハト派発言で株高トレンド、数日続伸。
よくある誤解と注意点
よくある誤解:
- 必ず大きく動くとは限らない
- 利上げ=ドル高は短期的に逆に動くこともある
- 会見の一言で相場が反転することも珍しくない
FAQ
Q. FOMCは必ずトレードすべき?
いいえ。難易度が高く、経験者向け。
Q. 会見と声明のどちらが大事?
両方大事。声明は方針、会見はニュアンス。
Q. 自動売買は有効?
乱高下と滑りに弱いため、裁量の補助程度に使うのが現実的。
まとめ
まとめ:
- FOMCは市場最大級のイベントで、ドル相場を大きく動かす
- 直後は見送り、押し目買い/戻り売りやトレンド追随が王道
- リスク管理を徹底し、資金保全を優先することが長期生存の鍵
付録:FOMC取引テンプレ
- T-60分:方向確認とアラート設定
- T-10分:ポジション軽量化、リスクサイズ確認
- T+0分:見送り/小ロットのみ
- T+30分:押し目/戻りを狙う
- 翌日:振り返りとログ記録