もくじ
- はじめに:勝ち方より「負けない設計」
- まずは早見表:絶対にやってはいけない事
- NG1:損切りをしない/遅らせる
- NG2:過剰レバレッジ(ロットの暴走)
- NG3:根拠のないナンピン(平均化の罠)
- NG4:ポジポジ病(常時ポジション保有)
- NG5:経済指標ギャンブル(滑りと拡大スプレッド)
- NG6:SNS・噂の鵜呑み(検証なき模倣)
- NG7:ルール未整備の裁量(その場の気分)
- NG8:逃げの両建て(損の固定化と混乱)
- NG9:資金管理ゼロ(一定割合のリスク不徹底)
- NG10:検証不足の手法乱用(環境適合性の無視)
- NG11:時間軸の混在(評価基準のすり替え)
- NG12:メンタル軽視(睡眠不足・連敗後の倍プッシュ)
- 安全フレームワーク:負けにくい運用手順
- チェックリスト:今日からやらない10か条
- Q&A:よくある質問
- まとめ
はじめに:勝ち方より「負けない設計」
FXの初期段階で最も成果に効くのは、勝ち手法の追加ではなく、負けパターンの排除です。特に初心者は、利益の最大化よりもドローダウン(資産の落ち込み)の最小化を優先すべき段階。やってはいけない行為を避けるだけで、成績のブレが減り、学習ループ(検証→改善→再テスト)が安定します。
まずは早見表:絶対にやってはいけない事
NG行為 | 主なリスク | 代替行動(推奨) |
---|---|---|
損切りをしない/遅らせる | 資金拘束・破滅リスク増大 | 事前SLとR:R固定(例1:1.5〜2.0) |
過剰レバレッジ | 想定外のDDで退場 | 1トレードの口座リスク0.5〜1.0% |
根拠なきナンピン | 損失拡大・心理崩壊 | 撤退明確な戦略or不採用 |
ポジポジ病 | 手数料負け・判断劣化 | 時間帯選別と「見送り」規律 |
指標ギャンブル | スプレッド拡大・滑り | 原則回避/専用戦略+低ロット |
SNS鵜呑み | 他人軸で再現性ゼロ | 自分の検証で裏取り |
NG1:損切りをしない/遅らせる
「戻るまで待つ」は最悪の戦術。含み損は判断を鈍らせ、次の好機を消します。
対策:エントリー前にSLを決め、指値で置く→動かさない。SL根拠は直近高安値・構造(押し目/戻り)・ATR倍数など再現性で統一。損失は常に口座残高比で管理し、R(リスク)を基準にトレードを評価します。
NG2:過剰レバレッジ(ロットの暴走)
勝てそうだからロットを「気分で」増やすのは破滅の近道。
対策:「口座残高×リスク%÷SL pips=ロット」を機械的に計算。週次の成績でリスク%を段階調整(勝てば微増、負けが続けば自動縮小)。
NG3:根拠のないナンピン(平均化の罠)
トレンドに逆らうナンピンは、撤退不能化と含み損の雪だるまを招きます。
対策:初心者は基本不採用。採用するなら「レンジ特化+最大段数+撤退基準+合計リスク上限」を数式で固定。
NG4:ポジポジ病(常時ポジション保有)
市場の多くは「待つ時間」。暇だから触る——これが損失の主因。
対策:取引時間帯(例:ロンドン前半)とセットアップ(例:20EMA回帰+BB±2σタッチ後の反転)を明文化し、一致しないならエントリー禁止。
NG5:経済指標ギャンブル(滑りと拡大スプレッド)
雇用統計・CPI前後はスプレッド拡大・価格飛び・急反転が常態。
対策:初心者は原則回避。やるとしても「足確定待ち+ロット半分+許容滑り幅の上限管理」をセット。
NG6:SNS・噂の鵜呑み(検証なき模倣)
インフルエンサーの「今が買い!」は、あなたの口座に責任を持ちません。
対策:スクショ収集→過去検証→フォワード検証→少額実弾の順で段階導入。数字で裏付けるまで本気にしない。
NG7:ルール未整備の裁量(その場の気分)
「なんとなく」はルールではありません。
対策:エントリー/損切り/利確/見送り条件を1枚のルールシートにまとめ、チェックボックスで運用。以下のテンプレを複製して使ってください。
項目 | 基準 | チェック |
---|---|---|
時間帯 | 事前に定義(例:16:00–19:00JST) | □ |
セットアップ | 5EMAと20EMAのクロス+BB±2σ接触 | □ |
損切り | 直近スイング±ATR×1.5 | □ |
利確 | R:R≥1:1.8/部分利確+建値寄せ | □ |
見送り | 重要指標1時間以内・流動性枯渇 | □ |
NG8:逃げの両建て(損の固定化と混乱)
両建ては帳尻合わせではなく、ヘッジ設計として使う上級技。
対策:「どの条件でヘッジ→どの条件で解消」のシナリオを事前定義。逃げの両建ては原則禁止。
NG9:資金管理ゼロ(一定割合のリスク不徹底)
同じ勝率でも、資金管理で結果は別物に。
対策:「1回の損失=口座の0.5〜1.0%」を固定。SL距離に応じてロット自動計算(EA/電卓シート化)。連敗時は段階的にリスク%を縮小。
NG10:検証不足の手法乱用(環境適合性の無視)
トレンド用手法をレンジに適用、または逆も然り。
対策:手法ごとに「得意/不得意の市場状態」をタグ付け(例:トレンド強・ボラ中~高)。タグ一致のときだけ稼働。
NG11:時間軸の混在(評価基準のすり替え)
1分足で入って、逆行したら日足を見る——これは心理的損切り回避です。
対策:戦略ごとに時間軸を固定し、評価・撤退も同じ時間軸で実施。
NG12:メンタル軽視(睡眠不足・連敗後の倍プッシュ)
疲労・怒り・焦りは期待値を瞬時にマイナスへ。
対策:睡眠・運動・休憩・記録を手法に組み込む。連敗後は自動クールダウン(最低24時間・または取引3回分)をルール化。
安全フレームワーク:負けにくい運用手順
- 準備:経済指標の確認/流動性のある時間帯を選定/スプレッド監視。
- セットアップ一致:移動平均(5EMA/20EMA/75SMA/200SMA)とボリンジャーバンドで環境認識。ラウンドナンバー・セッション高安・フィボナッチで位置関係を評価。
- リスク計算:
ロット=口座残高×リスク%÷SL(pips)
。リスク%は0.5〜1.0%を上限。 - 発注:成行なら滑り上限、指値なら無効化条件を設定。SL/TPは同時に置く。
- 管理:部分利確後は建値寄せ。指標接近で新規エントリー停止。
- 記録:スクショ(エントリー理由・環境タグ)+R基準で日次/週次集計。
- 改善:連敗時の戦略停止条件、再稼働チェックリストを明文化。
チェックリスト:今日からやらない10か条
- 損切りを事前設定し、広げない。
- ロットは数式で固定、気分で増やさない。
- 根拠なきナンピンはしない。
- 取引時間帯外は触らない。
- 重要指標前後は原則回避。
- SNS情報は自分の検証で裏取り。
- ルールシート外の裁量は禁止。
- 逃げの両建ては禁止。
- 1回の損失は口座の1%以内。
- 睡眠・運動・休憩を手法の一部にする。
Q&A:よくある質問
Q1:損切り幅が広く、ロットが極端に小さくなります。
A:時間軸を上げて利幅も相対拡大する設計にするか、勝てる時間帯・パターンに絞ってSLを短縮できる局面のみ狙いましょう。
Q2:ニュースは完全に避けるべき?
A:初心者は回避推奨。導入するなら専用戦略(足確定待ち・小ロット・許容滑り上限)を別管理に。
Q3:両建てで逃げてもいい?
A:原則不可。ヘッジ設計ができるまで使わないこと。状況は複雑化し、損益の把握が困難になります。
まとめ
初心者が「絶対にやってはいけない事」は、損失を拡大し再現性を壊す行動です。
損切り・資金管理・時間帯の選別・検証ループの徹底という負けない設計に切り替えるだけで、成績は安定し、学習が加速します。まずは「やらない事」を明確にし、今日から守り抜きましょう。