【用語解説】FX講座:ASK・BIDの意味と使い方

ASK・BIDの意味と使い方

キーワード:ASK, BID, スプレッド, 板, 指値, 成行, 約定力, FX, 価格の仕組み / 目的:FXの基礎であるASK/BIDの意味と実務上の使い方を理解し、スプレッドや発注方式、取引時間帯ごとの注意点まで身につける。

ASK・BIDとは?基本のキ

FXでは常に二つの価格が並んで表示されます。BID(ビッド)は「売れる価格(あなたが売るときの相手価格)」、ASK(アスク)は「買える価格(あなたが買うときの相手価格)」です。一般にBID < ASK で、この差がスプレッドと呼ばれる取引コストになります。チャートのローソク足は多くのプラットフォームで「BIDベース」で描画されます(例:MT4/MT5のデフォルト)。つまり、見ている足の高値・安値はBIDの推移。買いの逆指値(ストップ)を置く位置など、どの価格ベースで何が評価されるかを常に意識することが大切です。

価格が動く仕組みと板のイメージ

インターバンク市場では世界中の流動性プロバイダー(LP)や銀行が提示する買い気配(BID)と売り気配(ASK)が刻々と更新され、ブローカーはそのストリームを基に価格を配信します。あなたの取引ツールに見えるのは最良気配の組み合わせで、売りたい量が最良BIDを食い切るとBIDは一段下がり、買いたい量が最良ASKを食い切るとASKは一段上がります。いわば小さな入札会がミリ秒単位で連続しているイメージです。

通貨ペア BID(売値) ASK(買値) スプレッド 解説
USD/JPY 150.000 150.002 0.2pips 買うときは150.002、売るときは150.000で約定。差がコスト。
EUR/USD 1.10000 1.10002 0.2pips 小数第5位が1pipsのブローカーも多い(銭/ポイント表記に注意)。
XAU/USD 2400.10 2400.40 0.30 金は指標時にスプレッドが一時的に広がりやすい。

スプレッドと実質コストの正体

スプレッド=ASK−BIDは見た目の差。さらに実運用では、約定手数料(コミッション)やスリッページ(成行等での滑り)、スワップ(保有金利調整)も含めたトータルコストで考えます。ブローカーの表記に「0.0pips*」とあっても、*は「平均ではない」「指標時は拡大」などの注釈を意味することが多い。スキャルピングやニューストレードでは一時的な拡大が致命傷になり得るため、バックテストやデモ検証時点から「広がる前提」でシナリオを用意しておくのが賢明です。

コストの具体例

  • USD/JPYの通常時スプレッドが0.2pips、往復コミッション0.1pips相当 → 実質0.3pips
  • 指標直後に一瞬3.0pipsまで拡大 → 成行は期待損益が急悪化。指値/逆指値は貫通リスク増
  • ロンドンFIXやNYクローズ付近は板が薄く滑りやすい

成行・指値・逆指値の使い分け

注文の基本は次の3つです。成行(すぐ取引)、指値(有利値段で待つ)、逆指値(不利方向に動いたら執行)。ASK/BIDのどちらを基準にトリガーされるかを把握しましょう。

注文種別 買いの場合 売りの場合 トリガー基準 向いている場面
成行 現在のASKで買う 現在のBIDで売る 即時(滑る可能性あり) 急変時の素早い参入/撤退
指値 より低いASKに到達したら買う より高いBIDに到達したら売る 価格到達(ヒゲでのみ約定も) 押し目買い/戻り売りの計画的参加
逆指値(ストップ) より高いASKに到達したら買う より低いBIDに到達したら売る ブレイクで発火(貫通に注意) ブレイクアウト、損切りの執行

時間帯と銘柄別の注意点

時間帯でスプレッドは変わります。アジア早朝や週明け直後は薄く、ロンドン・NY重複時間は厚くなりがち。ただし金(XAU/USD)や原油、NASDAQ関連CFDなどは指標・要人発言・先物オプション清算に敏感で、普段タイトでもイベント時は一気に拡大します。通貨ペアごとのボラ・日中リズムを把握し、「いつなら成行が許容できるか」「どこから指値で待つか」のマップを持ちましょう。

約定力・滑り・リクオート対策

  1. 許容スリッページの設定:プラットフォームで数値を小さくし過ぎると約定拒否が増えます。戦略に応じて最適化。
  2. 部分決済・分割エントリー:一撃で入らず複数回に分けると平均価格と約定率のバランスが取りやすい。
  3. イベント前後の注文見直し:指標直前の逆指値は不要な貫通を招きます。直後に置くか、成行で短期に徹するか。
  4. ブローカー特性の理解:STP/ECN/マーケットメイク型で挙動が違う。取引履歴を可視化して検証。

実践テンプレ:エントリーから決済まで

USD/JPYの買いの例で、ASK/BIDを意識した一連の流れをテンプレ化します。

  1. 環境認識:トレンド方向、サポレジ、直近の高安、指標予定を確認。
  2. プラン:押し目買いなら指値(ASK基準で下)、ブレイク参入なら逆指値(ASK基準で上)
  3. 損切り:買いの場合はBIDの安値割れに合わせて配置(ASKではなくBIDで評価される点に注意)。
  4. 利確:直近高値の手前で分割、トレーリングはスプレッドとボラに合わせて調整。
  5. 執行:許容スリッページを設定し、板が薄い時間帯はロットを落とす。
  6. 記録:発注画面のBID/ASK、滑り、約定時刻をメモ。戦略別に平均実質コストを推定。

よくある質問(FAQ)

Q. チャートの価格と約定価格がズレます。
A. 多くのチャートはBIDベースで表示され、買い約定はASKで行われます。買いの逆指値・損切りはASK到達、売り側はBID到達——という仕様差を理解しましょう。
Q. スプレッドは常に一定ですか?
A. いいえ。時間帯・市場イベント・流動性の状態で変わります。平均値だけでなく最大拡大も把握しておくのが実践的です。
Q. 指値が「触れたのに約定しなかった」ように見えます。
A. 見ているのがBIDで、買い指値の基準はASKだからです。ASKのヒゲが届いていたかを確認してください。

まとめ

  • ASK=買う価格、BID=売る価格。差はスプレッド=基本コスト。
  • チャートはBIDベースが一般的。注文種別ごとの基準価格を把握。
  • 時間帯とイベントでコストは変動。成行/指値/逆指値を状況で使い分け。
  • 実トレードでは約定力・滑り・コミッションを含めた実質コストで戦略を最適化。