EA(エキスパートアドバイザー)は、ルール通りに自動で発注・決済を行う売買アルゴリズムです。ひと口にEAと言っても、無料配布のものと有料販売のものでは「開発目的」「メンテナンス」「情報開示」の姿勢が大きく違います。ここでは、無料EAと有料EAの本質的な差を、費用面だけでなく〈設計品質・透明性・サポート・運用リスク〉の観点から整理します。
もくじ
EAとは?しくみの超要約
EAは、相場データとインジケータに基づき売買判断(エントリー、利確、損切)を自動化するプログラムです。裁量トレードに比べ、感情の影響が少なく、ルール遵守と検証の再現性に強みがあります。一方で、規則の外側で起こる例外(スプレッド急拡大、配信遅延、経済指標の瞬間変動)には弱い側面があり、設計とリスク管理が重要です。
無料EAと有料EAの違い
違いは「料金」よりも、作り手の姿勢と継続運用の体制に表れます。
- 目的:無料は学習・宣伝・コミュニティ配布が多く、有料は商用品質と収益化が前提。
- 透明性:ロジック開示やバックテスト条件の明示度、外部検証の有無に差。
- 保守:ブローカー仕様変更・市場構造の変化へ追従するアップデート頻度。
- サポート:導入支援、トラブル対応、設定相談の有無とレスポンス。
- 制約:無料はロット制限・口座縛り・使用期限など制限が付く場合あり。
- セキュリティ:配布元の信頼性、コードの安全性(情報送信の有無)。
比較表(要点まとめ)
| 観点 | 無料EA | 有料EA | 補足 |
|---|---|---|---|
| コスト | 0円〜 | 数千〜数万円/買切・月額 | 実質コストはスリッページやアップデート頻度も含む |
| 品質 | 玉石混交 | 選別済みの傾向 | レビューや実運用実績で差が出やすい |
| 透明性 | 限定公開・不十分も | 条件明記・外部検証ありの例 | 検証条件(期間・スプレッド・手数料)必読 |
| サポート | 基本なし/低頻度 | 標準で対応 | セットアップやパラ最適の伴走 |
| アップデート | 不定期/停止も | 定期的に提供 | 市場変化への追従 |
| 制約 | 口座/ロット制限など | ライセンス管理 | 運用自由度のトレードオフ |
| セキュリティ | 配布元次第 | 販売元の信頼性評価可 | 署名・アップデート経路を確認 |
導入前チェックリスト
- 配布(販売)元の実在性・連絡先・返金/サポート方針を確認。
- バックテストの前提(対象通貨、期間、スプレッド、手数料、モデル品質)を精読。
- フォワード実績(Myfxbook等の外部リンク)やドローダウンの推移を確認。
- 依存ブローカーや口座タイプ、約定仕様(約定拒否/再クォート)との相性を確認。
- パラメータの意味が説明されているか(ロット、リスク%、時間帯、フィルタ)。
- ニュースフィルタや指標回避ルール、ボラ急拡大時の制御があるか。
- デモ/低ロットで14〜30日検証→資金分散→段階的に規模拡大の手順を守る。
良し悪しの見極め方
注意:曲線当てはめ(オーバーフィット)を避けるには、訓練期間と検証期間を分けるアウトオブサンプル検証が有効です。
- 複数の期間・通貨でパフォーマンスが一貫しているか。
- スプレッド2倍・手数料増・約定遅延を仮定しても崩れないか。
- DD(最大損失率)と連敗数の想定が現実的か。
- パラメータ感度(少し動かしても性能が極端に劣化しないか)。
- 含み損の持ち方(ナンピン/グリッド/マーチンの有無)を理解し許容できるか。
コストと価格の考え方
購入価格だけでなく、スリッページ・手数料・スプレッド、そしてアップデート停止リスクまで含めた総コストで比較します。価格は“品質の指標”になり得ますが、相関は完全ではありません。実運用の可視性(損益カーブの健全性)が最優先です。
| コスト要素 | 内容 | 見落としがちな影響 |
|---|---|---|
| スプレッド | 通貨・時間帯で変動 | エントリー/イグジット頻度が高いEAほど不利 |
| スリッページ | 約定遅延・流動性不足 | 指標時・薄商い時に成績が急落 |
| 手数料 | ECN口座など | スキャ系で蓄積しやすい |
| アップデート | 開発継続・互換性維持 | 停止でEAが陳腐化 |
リスクと運用ルール
- 1トレードのリスクは口座資金の1〜2%以内に制限。
- 高インパクト指標(雇用統計/FOMC/要人発言)は停止・ロット縮小。
- 相関の低いEAを複数組み合わせ、資金も口座も分散。
- サーバー設置はVPSで24/5稼働、電源/回線リスクを低減。
- 含み損の固定化を避ける時間/損失幅のストッパーを設定。
ケース別の使い分け
| 状況 | 無料EAが向く場面 | 有料EAが向く場面 |
|---|---|---|
| まずは学習 | ロジック理解・検証練習 | — |
| 低資金の試運転 | デモ/少額で特性把握 | — |
| 本格運用・規模拡大 | — | サポート/更新/実績が揃うEA |
| 独自開発の土台 | 参考実装として流用/改造 | 有料EAの考え方を研究 |
安全な導入手順(ハンズオン)
- デモ口座でEAを装着し、ロット=0.01・リスク%=1%以下で稼働。
- 週次で損益・DD・連敗数を記録、想定と乖離があれば停止→原因分析。
- VPS上で24/5稼働に移行、停電や再起動の自動復旧設定を行う。
- 本口座へ移す際も段階的にロットを上げ、合計リスクを常に管理する。
よくある質問
- Q. 無料EAは危険? → A. 出所の確認と検証手順を踏めば活用可能。ただしサポートや更新は期待しすぎない。
- Q. 有料EAは必ず勝てる? → A. いいえ。市場は常に変化するため“期待値がプラスの期間”を延ばす取り組みが必要。
- Q. どの口座タイプが良い? → A. 低スプレッド+手数料型がスキャ系に有利。スイングはそこまで敏感でないことも。
まとめ
無料EA=学習・試験運用の入り口、有料EA=保守体制と透明性に価値という棲み分けが現実的です。価格よりも、検証の再現性・ドローダウン管理・継続アップデートを軸に選び、段階導入で致命傷を避けましょう。
