【応用実践】FX記事：欧州時間の攻略ポイント

1．欧州時間の全体像

ロンドンは世界最大級の為替取引拠点。東京の余韻が残る午前後半〜昼にかけては板が薄く、
16:00〜17:00（JST 24:00〜25:00相当：サマー/ウィンターで変動）付近の欧州株式/債券オープンで一段と流動性が厚くなります。
為替は株式先物・債券利回り・原油/金属の動きに引っ張られやすく、通貨強弱の並び替えが起こりやすい時間帯です。

2．時刻ごとの特徴（日本時間基準）

時刻帯（JST）	主な出来事	値動きの傾向	基本姿勢
15:00〜16:00	欧州早出・先物の気配	指標前で様子見、レンジ維持	レンジ上限/下限の逆張りは浅め
16:00〜17:30	欧州現物オープン	初動の片寄りが発生しやすい	ブレイクの質を評価、追わずに押し戻り待ち
18:00〜20:00	独・英の指標集中	方向感が固まりやすい	二段目の継続狙い／フェイク警戒
23:00前後	ロンドンFIX（夏時間）	一時的なフロー偏り	急伸急落の反動に注意、短期で回転

3．ロンドン・キックオフ戦略

東京レンジの上下端に注目。ロンドン早出は東京の流れを一度試し、
ブレイク→定着（回帰しない）なら短期トレンドへ、ブレイク→即否定ならリバーサルの芽が出ます。
この局面は成行のサイズを極小にし、1回で仕留めないのが重要です。

シグナル	戦術	根拠
高値/安値の更新直後に出来高（ティック）加速	押し戻りの浅さを確認して分割IN	継続の期待値が高い
ブレイク直後の長いヒゲと急反転	追わずに否定の確定を待つ	フェイク高確率ゾーン
スプレッド縮小＋板が積み上がる	サイズを1→1.5→2へ段階増	約定品質の改善サイン

4．ブレイク／リバーサルの見極め

ブレイクは定着が命。価格がレンジ外で3〜5本（5分足基準）維持できないなら、
ブレイク否定を疑います。リバーサルは「ヒゲ＋出来高のピークアウト＋直近高安の奪回」が基本形。
指標前後は見出しひとつで乱高下するため、初動の次を待てるかどうかで生存率が変わります。

5．欧州指標・要人発言への対応

• 独IFO/ZEW、英PMI/雇用などは為替の方向感を変えやすい。速報の一発目ではなく、改定値/内訳に市場が反応することが多い。
• 要人発言は見出しで走り、全文で修正されることがある。ヘッドラインだけで飛びつかない。
• 重要指標の前はレンジ縮小→ブレイクの型が出やすい。指標跨ぎの保有はサイズ縮小。

6．板・流動性の変化と注文設計

欧州入りでスプレッドは通常縮小しますが、イベント直前直後は逆に広がります。
約定品質の指標として、スプレッド・板の厚み・約定レイテンシを常時観察。
IFD/OCOの組み合わせで、機械的撤退を可能にしておくと事故率が下がります。

7．リスク管理とサイズ調整

• 固定幅＋構造損切：10〜20pipsの固定幅と直近スイング高安の内側を併用。
• 初動は1/3サイズ：2段目で1/3追加、確定パターンで残り1/3。
• 時間で閉じる：狙いの時間帯を越えたらクローズ。粘りは平均損益を悪化させやすい。

8．時間帯別プレイブック

8-1．15:00〜16:00（JST）

状況	狙い	撤退
レンジ圧縮	上下の罠解除、ブレイク準備	だましの兆候で即逃げ
先物気配が一方向	押し戻りでの小ロット試し	VWAP割れ/奪回で損切

8-2．16:00〜17:30（JST）

状況	狙い	撤退
東京高安ブレイク	ブレイク定着確認→分割IN	3〜5本維持できず回帰なら撤退
ブレイク否定	戻り/押しの失速で逆張り	直近スイング更新で一旦撤退

8-3．18:00〜20:00（JST）

状況	狙い	撤退
指標で方向明確	二段目の押し目/戻り目	出来高失速＋MA割れで縮小
乱高下	スプレッド縮小まで待機	広がったら細く撤退

8-4．23:00前後 ロンドンFIX（夏）

状況	狙い	撤退
一方向のフロー偏り	短期の逆張り/順張り回転	反転の初動で素早く逃げ

9．直前チェックリスト

• □ 主要指標の時刻・重要度を二重確認
• □ 東京レンジの高安・未埋めのギャップ
• □ スプレッドと板厚の監視パネル配置
• □ IFD/OCO・ワンクリック決済のショートカット
• □ 記録：スクショ／メモ／リプレイ設定

10．まとめ

欧州時間は初動の質と二段目の作りで勝率が変わります。
追わずに待ち、サイズを段階調整し、時間帯ごとの役割を理解する——この基本だけで期待値は改善します。
本稿を自分のプレイブックに写経し、翌日から1トレードずつ検証を重ねてください。