もくじ
含み損を放置しない理由
含み損の放置は二重の損を生みます。1つは資金の目減り、もう1つは新しいチャンスに資金が回らない機会損失です。さらに「戻るはず」という願望が意思決定を曇らせ、平均損切りが遅延しドローダウンが拡大します。
重要なのは「放置しない仕組み」。事前に損切りを決め、執行を自動化すれば、感情から距離を置けます。
含み損が拡大するメカニズム
含み損は、トレンド継続とボラティリティ拡大で加速します。特に重要指標時はスプレッドも広がり、想定外の滑りが発生しがちです。構造的に逆行が続く局面では「戻り待ち」は統計的に不利で、損小利大の原則に反します。
1回あたりの許容損失を数字にする
口座資金に対して1回の許容損失(R)を先に決めます。例:資金10万円、R=2%(2,000円)。このRを守るだけで、放置の多くは消えます。
ロット = R(円) ÷ {損切幅(pips) × 1pips価値(円)}
Rを固定することで、勝っても負けても感情が安定し、ルール遵守率が上がります。
損切りの置き方:構造・時間・ボラで決める
- 構造(Structure):直近高安の外側、チャネル外、前回の押し戻り起点。
- 時間(Time):セッション区切り・足確定で判定。「時間切れ損切り」も有効。
- ボラ(ATR):ATR×k(例:ATR(14)×1.5)でノイズ許容。
固定pipsよりも、相場構造+ATRのハイブリッドが実戦的です。
ロット設計:逆算で「無茶」を封じる
ロットは入る前に決まっているもの。「入ってから思う」は放置の温床です。R、損切幅、1pips価値から逆算し、指値・逆指値と同時送信までをワンセット化します。
証拠金維持率とロスカット水準の把握
維持率は有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100(%)。ブローカーのロスカット閾値(例:50%)を下回らないよう、新規時点で300%以上を確保するのが安全圏。含み損の放置はこの余白を削り、強制決済を招きます。
アクション表:放置→設計へ
状況 | よくあるNG | 推奨アクション | 根拠 |
---|---|---|---|
逆行直後 | 祈り・ナンピン | 計画どおりの損切り/一部カット | 統計的にナンピンはリスクリワード悪化 |
指標前 | 含み損を持ち越し | 一旦手仕舞い or ロット縮小 | スプレッド拡大・滑りの回避 |
維持率低下 | 見ないふり | 即時縮小・損切り・ヘッジ | 強制決済の連鎖回避 |
ケーススタディ(USDJPY / XAUUSD)
例1:USDJPY ロング 0.1ロット、損切幅30pips
1pips≒100円 → 想定損失3,000円(R=3%なら過大)
例2:XAUUSD ショート 0.1ロット、損切幅50pips
pips価値とスプレッドが大きく、同幅でも損失は拡大しやすい。
→ ロット半減、またはATR基準で再設定。
銘柄特性に応じて損切幅とロットを再計算する癖をつけましょう。
放置を防ぐ習慣化テク
- OCOの義務化:エントリーと同時にSL/TPを必ず送信。
- 時間切れルール:xx分で期待シナリオ未達→建値撤退。
- 連敗ブレーカー:3連敗で自動休憩(当日打ち止め)。
- 週次レビュー:放置事例をログ化し、原因→対策を更新。
初心者Q&A
Q. 戻りそうに見える時は?
A. 期待と事実は別。損切り後に入り直す自由を守るためにも、まず切る。
Q. ナンピンは悪ですか?
A. システムとしてのナンピン(最大損失管理付き)以外は、裁量の自滅パターンになりがち。
Q. 含み損を減らす練習は?
A. 逆指値の先出しと時間切れ撤退を徹底。ロットは練習用に極小から。
まとめ
含み損の放置は資金とチャンスを同時に蝕みます。Rを固定→損切り位置→ロット逆算の順で設計し、OCOで自動執行。維持率300%ラインを守り、「切ってから考える」を合言葉に、資金曲線を右肩上がりに整えていきましょう。
運用メモ(付録)
- SLヒット後は同方向の再エントリー禁止(最低3本待つ)。
- 建値ストップの移動は部分利確後のみに限定。
- 指標カレンダーを前週に確認し、持ち越し禁止日を決めておく。
運用メモ(付録)
- SLヒット後は同方向の再エントリー禁止(最低3本待つ)。
- 建値ストップの移動は部分利確後のみに限定。
- 指標カレンダーを前週に確認し、持ち越し禁止日を決めておく。