【資金管理】FX記事:ドローダウンに耐える資金設計とは

ドローダウンに耐える資金設計とは

トレードの失速はドローダウン(DD)によって起こります。DDは避けられない現象ですが、資金設計が正しければ回復不能ラインを踏まないように制御できます。この記事では、原則数理ロット設計キャッシュ運用検証の流れで、初学者でも実装できる設計図を作ります。

資金設計の原則

  • 破産回避が最優先:パフォーマンスは“生存”の上にしか乗りません。
  • 一貫した単位:判断はpipsではなくR(初期リスク単位)で管理。
  • 変動に適応:ボラが倍ならロットは半分。一定の口座リスク率を守る。
  • ルールの事前定義:DD閾値で自動減速/停止/再開を決めておく。

ドローダウンの数理:期待値と破産確率

戦略の基本指標は期待値 EV = Win% × AveWin − (1−Win%) × AveLoss と、連敗分布です。連敗の期待最大長はおおむね log(口座信頼水準) / log(1−Win%) で近似できます。これをR単位の損失に換算して、想定最大DDをあらかじめ予算化します。

ロット計算:固定比率・ボラ目標・ケリー分数

固定比率(%リスク)

各トレードで口座のr%をリスク。損切り幅が広がればロットは自動縮小。

lot = 口座残高 × r% ÷ (損切り距離 × 1pip価値)

ボラティリティ目標

ATR等から日次の変動を推定し、口座の日次変動を一定範囲(例:±1〜1.5%)に保つようロットを決める。

ケリー分数

理論上の最適成長率は Kelly = (b×p − q)/b(bは配当比)。実運用では過剰ボラを避けるため1/4〜1/2ケリーが通例。

DDバジェット(許容量)の決め方

最大許容DD(例:20%)を先に決め、その半分を警戒域3/4をレッドゾーンとします。レッド到達で即時停止、レビュー後段階的にロット復帰

キャッシュバッファと引き出しルール

  • 生活費と運用資金の分離:6ヶ月分の生活費は別口座へ。
  • 利益の分配:月次で新高値更新分の30〜50%を別口座に移管し、再投資過多を防止。
  • 税・手数料の積立:利益の10〜20%を税バッファとして確保。

運用コントロール:カットオフと再開条件

条件 アクション 再開条件 備考
DDが許容量の1/2 ロット50%に縮小 直近20RでEVが+に復帰 軽微な低迷
DDが許容量の3/4 停止・レビュー パラメータ見直し+前進テスト 構造的劣化の疑い
想定外のボラ拡大 ATR係数↑/取引休止 日次ATRが平常域へ イベント時対応

シナリオ別・推奨リスク早見表

戦略タイプ 想定Win% 平均R 推奨r% 想定最大連敗 想定最大DD
トレンドフォロー(M15) 45% +1.8R 0.8〜1.2% 6〜9 12〜18%
レンジ逆張り(M5) 55% +1.2R 0.6〜1.0% 5〜7 10〜15%
XAUUSDイベント回避 42% +2.2R 0.5〜0.9% 7〜10 15〜22%

値は目安。必ず自分のデータで再計算してください。

検証:モンテカルロとウォークフォワード

  1. 分布化:自分の勝ち負けR系列から1,000〜10,000回の乱択シミュレーション。
  2. 指標:最大DD分布、破産確率(指定DD超過確率)、回復期間の分布。
  3. 前進テスト:パラメータ確定後、直近未使用期間で実行。
  4. リスク制御実験:r%やATR係数を変えてDD分布がどう動くか可視化。

FAQ

Q:DDが続いて心理的に辛いです。

ルール化されたロット縮小と休止トリガーが防波堤。主観判断を排除しましょう。

Q:安全なr%はいくつ?

デイトレで0.5〜1.0%、スイングで0.8〜1.5%が一般的な出発点。自分のDD分布で調整。

Q:ケリーは使うべき?

フルケリーはボラ過大。1/4〜1/2ケリーを上限とし、実運用は%リスク方式が扱いやすいです。

まとめ

DDは“設計”すべきリスクです。許容DD→r%→ロット→停止/再開条件を先に固定し、ボラに応じてロットを自動調整。キャッシュバッファで生存率を底上げし、モンテカルロで分布を確認してから本番投入。これが長期的な右肩上がりを守る最短ルートです。