「想定と真逆に走った…」この瞬間に迷うのは、人間として自然です。けれど相場は待ってくれません。
本稿では、損切り・縮小・ヘッジ・様子見という4つの選択肢を、事前のルールと分岐フローに落とし込み、
数十秒で実行できる状態へ整備します。初心者にも使える現実的なレベル感で、図解・表・チェックリスト付き。
もくじ
予想外の値動きはなぜ起きる?
価格は常に「期待」と「驚き」の差で動きます。テクニカルのパターンが崩れるのは、
オーダーフロー(実需・投機・清算)や流動性の穴、直近高安のストップ刈り、想定外ニュースなど、
「材料」と「タイミング」の組合せが変わるからです。重要なのは、外乱を前提に設計すること。
最初から「外す」可能性を折り込めば、外した時の行動はシンプルになります。
対処の前に:事前準備(前提の整備)
逆行対処は準備の質で8割決まります。最低限、次の3点を毎回セットで用意しておきましょう。
- 撤退価格(ハードストップ):根拠の無効化点。移動平均や直近安値/高値、ボラ(ATR)で数値化。
- サイズ設計:損切り幅×ロット=許容損失(口座残高の1〜2%目安)。
- 時間ストップ:想定の展開が訪れないままN分経過したら撤退。
また、同時に監視する指標を決めます。例:ATR、出来高的手掛かり、セッション切替、
経済指標カレンダー、要人発言ウィンドウ。「見ない情報」も決めるとノイズ耐性が上がります。
分岐フロー:逆行時の最初の30〜120秒
エントリー直後に逆行したら、感情を挟まず分岐表に従います。
- 逸脱確認(10〜20秒):事前に決めた無効化条件(価格/時間/ニュース)にヒット?
- ボラ確認(10秒):ATRまたは直近の1〜3本のレンジで、想定ボラを超過?
- 選択(即時):
- 無効化に該当 → 即切る(損切り)
- 無効化未満・想定内 → 様子見 or 縮小
- イベント由来のノイズで再度根拠が整う見込み → ヘッジで時間を買う
この分岐は印刷して目の前に貼っておくのが効きます。習慣化の敵は脳内の即興判断です。
損切りの型:価格・時間・情報の3軸
損切りは「価格」「時間」「情報」の3軸で定義します。
- 価格ストップ:直近の高安/構造崩れ/ATR×k倍など。
- 時間ストップ:狙いの波が来ないN分・N本で終了。だらだら保有は期待値を溶かす。
- 情報ストップ:新情報(要人・CPIなど)で根拠が逆転したら潔く撤退。
どれか一つに該当したら即実行。複数確認は「逃したい言い訳」になりがちです。
縮小(ポジション軽量化)の使いどころ
完全に切るほどではないが、想定の優位が弱まったと判断したら、半分に縮小。
リスクを半分にしつつ、再展開の余地を残します。縮小は迷いの延命ではなく、状況の再評価を買う手段です。
ヘッジ/両建ては“橋渡し”に徹する
ヘッジは時間を買うための一時的手段。永続の両建ては損益が目減りしやすく、
手数料とスプレッドが効きます。ルールは簡潔に:
- ヘッジは最大原ポジの50〜100%まで。
- 解除トリガー(価格or時間)を先に決める。
- 解除と同時に本ポジの是非を再評価(反転も選択肢)。
ナンピンの線引き:許容と禁止の境界
ナンピンは“平均取得単価の改善”ではなく“破綻確率の増幅”になりやすい。
許容は戦略的分割エントリーのみ(計画段階で幅と回数を固定)。
逆行の言い訳としてのナンピンは禁止。ルール外の追加は破綻フラグです。
ニュース・指標カタストロフの扱い
重要指標(CPI・雇用統計)や要人発言は、スリッページと瞬間的な流動性低下を招きます。
直前・直後は新規を避けるか、サイズを1/2に落とす。既存ポジは、
情報の方向性が自分の根拠を壊すなら即撤退、曖昧なら縮小で中立化します。
ログの付け方:再現性は弱点の言語化から
逆行対処の上達は、失敗の言語化がすべて。最低限、次の5点をテンプレ化。
- 事前の無効化条件(価格/時間/情報)
- 実際の逆行トリガー(例:ロンドン頭の流動性ギャップ)
- 選んだ対処(損切り/縮小/ヘッジ/様子見)と実行までの秒数
- 結果(損益/心理/改善点)
- 次回の修正(分岐条件・サイズ・見ない情報)
逆行対処チェックリスト
| 項目 | Yes/No | メモ |
|---|---|---|
| 無効化価格の設定(数値) | □ | |
| 時間ストップの設定(分) | □ | |
| サイズ=口座×1〜2% | □ | |
| 同時監視指標(ATR/出来高/指標カレンダー) | □ | |
| 逆行時の分岐フローを表示 | □ | |
| ヘッジの上限%と解除条件 | □ | |
| ナンピンの禁止ライン明文化 | □ | |
| ログテンプレの準備 | □ |
ケーススタディ:3つの典型シナリオ
Case 1:ブレイク狙いがダマシで反転
無効化価格=ブレイクポイント下にATR×0.7。
ダマシが発生し直近足の終値で無効化点に到達、即損切り。その後の再ブレイクは別シナリオとして再評価。
Case 2:順張り継続のはずがレンジ化
時間ストップ=15分。N分経過で優位性が薄れたと判断し、半分縮小+次のボラ拡大待ち。
Case 3:ニュースで一時逆行、根拠は生存
要人ヘッドラインでスパイク。50%ヘッジを入れてボラ落ち待ち、
再びテクニカルが整合したところでヘッジ解除。解除時に本ポジの是非も再評価。
まとめ
外乱を前提に設計し、外したら機械的に切り替える。
逆行は「恥」ではなく「仕様」。価格・時間・情報の3軸と、分岐フロー、サイズ設計、ログのテンプレ。
この4点を整えるだけで、負けの規模は小さく、勝ちの回収力は高くなります。次のトレードから実装してみてください。
