エントリー直後に逆行。あるあるです。問題は「外れたこと」ではなく、
外れた時にどう動くかの設計があるかどうか。この記事は、裁量トレードで価格が逆行しているときに
迷わないための判断基準を、観察→診断→行動の3ステップで体系化します。
もくじ
1. 判断フレーム:観察→診断→行動
人間は含み損で認知が歪みます。そこで、定型フローを用意します。
| 段階 | 問い | 代表ツール |
|---|---|---|
| 観察 | 何が起きている? | 時間足切替、出来高、ATR、板/約定 |
| 診断 | 想定のうち?外? | 無効化ライン到達、構造破壊、ニュース |
| 行動 | 何をする? | 損切り・継続・縮小・反転・ヘッジ |
2. 観察:時間軸・出来高・ボラの再測定
- 時間足:上位足(H1/H4/D1)でトレンドとレジサポの位置を再確認。
- 出来高/ティック数:ブレイクに伴う増加か、閑散のノイズか。
- ATR(Average True Range):直近N期間の平均変動幅。逆行幅がATRの何倍かで強度を評価。
逆行幅がATRの1.0倍以内なら「想定ノイズ域」、1.5倍超なら「想定外」など、
事前にしきい値を決めておきます。
3. 診断:想定外か、想定内のノイズか
次の3点で「想定外」を定義します。
- 構造破壊:直近押し安値/戻り高値の確定ブレイクで、波形が逆転。
- ロケーション逸脱:キーレベル(前日高安、週足レジサポ、フィボ)を背にできない位置まで遠ざかった。
- パラダイム変化:重大ニュースで前提が無効化。
1つ該当で縮小、2つで撤退(損切り)、3つで反転検討など、
自分用の合意ルールを作ります。
4. 行動:損切り/継続/縮小/反転/ヘッジ
| 選択肢 | 条件 | 実務ルール |
|---|---|---|
| 損切り | 無効化ライン到達、想定外×2以上 | 成行/逆指値で即時実行。スリッページ許容を設定 |
| 継続 | ノイズ域(ATR≤1.0)、構造維持 | 建玉は維持、タイムアウトのみ更新 |
| 縮小 | 想定外×1、出来高伴う逆行 | 1/3〜1/2をカットしリスク低減 |
| 反転 | 構造逆転+出来高増 | ドテンは小ロットで、直近高安の外にSL |
| ヘッジ | イベント通過待ち | 同通貨ペア短期カウンター or 相関通貨でデルタ中和 |
5. 価格水準の設計:無効化ラインと縮小ゾーン
エントリーと同時に、無効化ライン(Invalidation)と縮小ゾーンを設定します。
- 無効化ライン:テクニカル根拠が消える価格(例:直近スイングの外側)。
- 縮小ゾーン:無効化手前の帯域。到達でポジションを部分削減。
具体例(ロング想定)
| 要素 | 設定 | 根拠 |
|---|---|---|
| エントリー | 押し目の反発でIN | 上昇トレンド・サポート反発 |
| 縮小ゾーン | サポ割れ-0.5×ATR | ノイズ超過の兆候 |
| 無効化 | 直近押し安値-1.0×ATR | 波形崩れ確定 |
6. ボラティリティ基準の使い方(ATR/σ)
逆行に対する許容幅は、固定pipsではなくボラ基準にすると相場適応性が上がります。
- SL=k×ATR(k=1.0–1.8)
- 縮小トリガ=0.7×ATR
- 利確の一部はRR1:1到達で分割
7. 時間基準:保有タイムアウト
価格が伸びないのもリスク。時間の損切りを置きます(例:M15戦略で3–5本以内にRR0.8達成しなければ縮小)。
8. スケール調整:ナンピンと分割手仕舞い
ナンピンは戦術であって保険ではありません。以下の統制を。
| 施策 | 上限 | ルール |
|---|---|---|
| 追加(ナンピン) | 最大2回 | ATR基準間隔、合計リスク固定 |
| 分割利確 | 50%/25%/25% | RR1:1/1:1.5/トレーリング |
| トレーリング | ATR×0.8 | 高値追従し脱出 |
9. チェックリストとログの付け方
- 逆行幅はATRの何倍?
- 構造は維持?(直近スイングは?)
- キーレベルに対する位置は?
- イベント予定は?(CPI/FOMC/要人発言)
- 選択肢:損切り/継続/縮小/反転/ヘッジ—どれ?理由は?
ログは「事実・判断・行動・学び」の4行で十分。翌日の自分へのメモです。
10. ケース別シナリオ集
ケースA:ブレイク狙いがフェイクアウト
出来高が細いのにブレイク。すぐ否定され逆行。→ 観察で出来高不足を確認、診断は「想定外×1」。縮小し、直近スイング割れで損切り。
ケースB:指標で一時的逆行
イベント通過でV字復帰見込み。→ ヘッジを使いデルタ中和、通過後に外す。無効化ラインは守る。
ケースC:上位足のトレンド転換
H4で押し安値を明確割れ。→ 想定外×2、即撤退。ドテンは小ロットで構造確認後。
11. まとめ
逆行は「間違いの証明」ではなく、ルール運用のテストです。
観察で状況を把握し、診断で想定外を定義、行動でルールに従って機械的に執行する。
感情のボラはゼロに、価格のボラは指標化。これで、逆行も学習データに変わります。
