【中級】FX講座:順張りと逆張りの判断基準

順張りと逆張りの判断基準



【中級】FX講座:順張りと逆張りの判断基準

「今は流れに乗るべきか? それとも逆に振るべきか?」——この判断を曖昧にしないための実務フレームワークを提供します。

1. 用語の整理:順張り/逆張りの本質

順張りは既存のトレンド方向に同調する戦略、逆張りは行き過ぎ(オーバーシュート)に対して平均回帰を狙う戦略です。重要なのは「時間軸」。1分足での逆張りが、日足では順張りということも普通に起こります。

ダウ理論(高値・安値の切り上げ/切り下げ)と、構造ブレイク(構造の崩れ)を母体に、コンテキスト(文脈)を加点/減点するのが本稿の基本方針です。

2. 判断の4軸:時間軸・ボラ・出来高・位置

以下の4軸で相場状況を数値化/言語化します。

  • 時間軸:上位→下位の整合(マルチタイムフレーム)。
  • ボラティリティ:ATRや標準偏差で拡大/縮小を識別。
  • 出来高:FX現物の出来高は限定的ですが、先物/CFDやティックボリュームで代理。
  • 位置:移動平均、バンド、ピボット、重要高安(前日高安、週高安、セッション高安)に対する位置。

順張りは「拡大ボラ × 方向一致 × ブレイクの質が高い」ときに優位性が増し、逆張りは「過伸長 × 流動性の薄い端点 × 収縮シグナル」の重なりで期待値が立ちます。

3. 実務フレーム:順張り/逆張りの判定手順

  1. 上位足の方向(例:日足/4Hでの高安更新)をスコア化。
  2. 直近のボラ推移(ATR14の対前日比やσの変化率)を確認。
  3. ブレイクの質:ヒゲ率、出来高、VWAP乖離、1本前の実体比。
  4. 位置:バンド外走り(バンドウォーク)か、節目ジャストか。
  5. トリガー:順張りなら「押し/戻り」再開、逆張りなら「フェイルブレイク」やダマシ。

この5ステップで、順張り/逆張りのどちらが「いまの文脈で」期待値が高いかを判定します。

4. 時間軸別チェックリスト

時間軸 順張りの条件 逆張りの条件 NG例
日足 高安切上/切下とMA(20/50)のパーフェクトオーダー 週足レベルの節目到達+長ヒゲ出現+出来高ピーク ニュース由来の一過性スパイク直後の追随
4時間足 トレンドライン再テスト成功+実体ブレイク ダイバージェンス出現(RSI/MACD)+フェイルブレイク 値幅不足(ATR低下)での細かな逆張り連発
15分足 バンドウォーク中の押し目/戻り目形成 ±2σ外での棒上ヒゲ/下ヒゲ+VWAP回帰 イベント前のレンジ中央での成り行き
1分足 上位足同調+加速局面の再点火 マイクロ構造のダマシ(高安更新失敗) 板の薄い時間帯のスキャルで粘着

5. 推奨インジセットと設定値

目的 推奨 設定例 使い方
方向認識 EMA20/50/200 クロスと傾き 角度と階層一致で順張り加点
ボラ ATR14 / 標準偏差 対平均比1.2以上で拡大 拡大なら順張り優勢、収縮なら逆張り候補
位置 ボリンジャー±2σ/VWAP ±2σ外+乖離率 外走り=順張り継続、乖離拡大ピーク=逆張り候補
勢い RSI/MACD RSI50±帯・ダイバ RSIセンター割れ/回復でトリガー
出来高 Tick Volume/先物出来高 直近ピーク比較 ブレイクの質判定(薄いとフェイク増)

6. 逆張りの条件と失敗パターン

  • 条件:端点(節目/バンド外/前日高安)+拡大ボラ終息シグナル(長ヒゲ/孕み)+ダイバージェンス。
  • 失敗:トレンド回復で踏み上げ。損切は直近極値の外に置き、建値戻しのルールで損小化。
  • 分割:3分割(試し玉→本玉→利確玉)。平均足や1分構造で執行精度を上げる。

「逆張り=危険」ではなく、「条件の重なりが薄い逆張り=危険」。逆張りは撤退速度が命です。

7. ケーススタディ:欧州~NYの転換点

欧州終盤での過伸長→NY序盤の手仕舞い回帰は典型パターン。±2σ外の連続実体+出来高ピーク後、VWAP回帰を1本待ってからのショート/ロングを検討します。

エントリー例:
① ヒゲ確定 → ② 前足安値/高値割れ → ③ 最小RR1:1を確保して建値ストップ移動 → ④ 1R確保で半分利確 → ⑤ 残りはトレール。

8. よくある誤解とアンチパターン

  • 移動平均クロスだけで順張りと判断(構造無視)。
  • RSI30割れ=買い/70超え=売りと決めつけ(文脈無視)。
  • ニュース直後の逆張り(流動性ギャップ)。
  • レンジ中央での成行(期待値ゼロ帯)。

9. 実装:MT5/TradingViewでの具体手順

  1. レイアウト:上位(日足/4H)・中位(15分)・執行(1分)。
  2. 指標:EMA20/50/200、ATR14、BB±2σ、RSI、VWAP。
  3. 描画:高安ライン、前日/週高安、ピボット、トレンドライン。
  4. アラート:BB外→RSIセンター回復、4H構造ブレイクなどを条件に。
  5. 日誌:期待仮説・入/決済根拠・感情ログを3行で固定フォーマット化。

10. まとめ

順張り/逆張りは二項対立ではありません。時間軸・ボラ・出来高・位置の4軸スコアで文脈を定量化し、トリガーで執行。加点法で順張り、重なり法で逆張り、損切は素早く、利は分割で守る。これが中級者の期待値設計です。