「勝率」を上げる最短ルートは、良い手だけを選び続けるための“仕組み化”です。本稿では、EMA/SMA・ボリンジャーバンド・マルチタイムフレーム(MTF)・フィボナッチ・ラウンドナンバー・チャートパターンを、迷いなく組み合わせる手順に落とし込みます。読み終えたら、そのままチェックリスト化して使えるように設計しています。
もくじ
はじめに:勝率の正体と前提
勝率は「取らない負けを減らす」ことで最も伸びます。つまり、期待値が低いパターンを入口で棄却できるかが鍵。インジケーターは“合図”に過ぎず、価格の構造(高値・安値・トレンドの段差)が主役で、指標は補助です。本稿では、“合図が揃う=参加、揃わない=見送る”という二択に落とすルールを示します。
前準備:時間帯・銘柄・環境認識
- 時間帯:ロンドン立ち上がり〜NY前半は流動性が厚く方向が出やすい。一方で、指標30分前後は勝率が乱れるので除外が無難。
- 銘柄:XAUUSDや主要通貨(USDJPY/EURUSD/GBPUSD)。勝率重視ならスプレッドが安定し、瞬間変動が少ないペアから。
- 環境認識:日足→4H→1Hで流れを把握。直近の高安の位置(レンジ/ブレイク直後/押し戻りの深さ)を確認。
移動平均(EMA/SMA)の使い分け
EMA5/20は短期の勢いを、SMA75/200は中長期の地形を映します。
- トレンド判定:価格がSMA200の上=上目線、下=下目線。横ばいのときはレンジ警戒。
- 勢い確認:EMA5がEMA20を上抜け/下抜け後、EMA間隔が拡大し続けるなら勢いが残るシグナル。
- 押し目/戻り目:上昇ならEMA20〜SMA75の“帯”へのプルバック、下降ならその逆を狙う。
ボリンジャーバンドで「質」の高い波を選ぶ
ボリンジャーは波の圧力を見る道具です。
- スクイーズ→エクスパンション:バンド幅が縮小→拡大し始めた直後は、トレンド初動で勝率が上がる。
- バンドウォーク:+2σ/−2σ沿いに連続する推進波。一時の逆行で即否定せず、短期EMAの傾きで継続を判断。
- SMAとの距離:価格が2σとSMAの間で推移し、2σと5SMAの差が連続して縮小➡再拡大は、押し戻り完了の合図になりやすい。
ダウ理論&パターン:ダブルトップ/ボトムの実戦
高値切り下げ・安値割れ、あるいはその逆を一段上/下のタイムフレームで確認します。ダブルトップ/ボトムは“ネックラインを基準”にブレイクでエントリー、ネック上/下への戻り(リテスト)で追撃が基本。
マルチタイムフレームで同調を取る
- 日足・4H:方向(上/下/横)を宣言
- 1H:押し戻りゾーン(SMA75/200・フィボ50〜61.8%・ラウンド)を仮決定
- 15m・5m:合図の同時発生(EMA5/20の再クロス+ボリ拡大+パターン)を待機
- 1m:タイミング取り(高安の小さな抜け・Wボトム/トップのミニ版)
フィボ+ラウンドナンバーで利確・損切を数値化
押し戻り候補はフィボ38.2/50/61.8%とキリ番(例:XAUUSDなら5/10刻み)が重なる所。損切=直近スイングの外側、利確=前回高安/フィボ拡張/対向σでルール化します。
エントリー設計:プルバック/ブレイクの型
- プルバック型:上位上昇の押し目で、5mのEMA5が20を上抜き、ボリ幅拡大、直前高値ブレイクでIN。損切=押し安値下。
- ブレイク型:レンジ上限/下限の明確なラインを、出来高増(代替指標でティック数)+ボリ拡大で抜けるタイミング。
- フェイク対策:抜け直後の足が即否定したら撤退。再度作り直し待ち。
セッション&指標:勝率を落とす時間を避ける
東京後場の膠着、NY引け前の手仕舞いなどはノイズが増えがち。指標30分前〜15分後は除外を基本に。ルールに書き込み、合図が出ても取らない時間を明示します。
検証と期待値:勝率を“上げ続ける”方法
期待値 = 勝率 × 平均勝ち – (1-勝率) × 平均負け。勝率55%・RR1.0でも十分に戦えます。手を減らし、良い型に寄せるほど勝率は安定します。
よくある失敗と回避策
- オシレーターの逆張り依存:上位足のトレンドと乖離した逆張りを連発して勝率低下。
- 指標・薄商いの無視:ここを避けるだけで勝率は上がる。
- 利確の伸ばしすぎ:対向バンド/前回高安に当たったら部分利確。
そのまま使えるチェックリスト&条件表
項目 | 合格条件 | 確認 |
---|---|---|
上位足の方向 | SMA200の上下とダウ構造が一致 | ☐ |
ゾーン | EMA20〜SMA75帯 or フィボ50–61.8% + ラウンド一致 | ☐ |
勢い | EMA5>20(上)/ EMA5<20(下)かつ間隔拡大 | ☐ |
ボリン | スクイーズ後の拡大 or バンドウォーク継続 | ☐ |
パターン | Wボトム/トップ、ネックリテスト確認 | ☐ |
タイミング | 1–5mで直近高安の明確な抜け | ☐ |
リスク | 指標30分前後は除外、RR≥1.0 | ☐ |
数値設定の目安:
設定 | 買い目線の目安 | 売り目線の目安 |
---|---|---|
損切 | 押し安値の外側 | 戻り高値の外側 |
第一利確 | 前回高値/対向+2σ | 前回安値/対向-2σ |
第二利確 | フィボ拡張1.272〜1.618 | フィボ拡張1.272〜1.618 |
事例ミニケーススタディ(XAUUSD/USDJPY)
XAUUSD・ブレイク継続型
- 4H上昇。SMA200上、押しはSMA75で止まる。
- 1Hでスクイーズ後にバンド拡大、EMA5>20。
- 5mでレンジ上限ブレイク、出来高増(代替:ティック増)確認。
- IN:ブレイク足の高値更新で少量、リテスト成功で追加。
- OUT:前回高値→対向+2σ→拡張1.272の順で分割利確。
USDJPY・プルバック反転型
- 日足は下落基調、4Hで戻り中。
- 1Hでフィボ61.8%+ラウンド+SMA75が重なる“売りゾーン”。
- 15mでEMA5<20に再クロス、ボリ拡大、5mの直近安値割れでIN。
- OUT:対向-2σ→前回安値、走れば拡張1.272。
半自動化のヒント:アラート/EA化の道筋
- 合図の自動検出:EMAクロス+ボリ幅閾値+レジサポ到達の同時計測。
- フィルター:上位足方向に一致しない合図は通知しない。
- ログ:入/出場・RR・時間帯・指標有無をCSVに保存し、週次で勝率を再最適化。
まとめ
方向(上位足)→ ゾーン(SMA/フィボ/ラウンド)→ 合図(EMA/ボリ/パターン)→ タイミング(直近高安抜け)という順序を固定化すると、“取らない負け”が減って勝率が上がる。まずはチェックリストをコピペして、合格しない場面は見送ることから始めましょう。